2008年6月2日 星期一

神経に住む者たちへ/天野可淡

神経に住む者たちへ―――――――――――――◆ 天野可淡
給住在神經上的…

……あるいはもしあなたが風にあこがれて
地下から這い出るセミならば、
最後の土をかき分けた瞬間、
地上の目もくらむ光と同時に
足もとに深く広がるやわらかな闇を
あらためて認識するでしょう。
人々はともすると光と闇のとろけあった
乳白色の混沌の中にさまよいがちです。
私もその中の一人だから常にそれを恐れ、
手を動かさずにはいられないのです。

或許…你是對風有著憧憬,而從地底下爬出的蟬
在撥開最後一塊泥土的瞬間、令人昏眩的光芒刺入眼裡的同時   
一定也對腳下深沉、寬闊而柔軟的黑闇,重新認識一番了吧。
人們往往很容易徬徨於融光明及黑暗於一體的乳白色混沌當中。  
我也是那之中的一人、所以時常為此而恐懼  
無法任手就這樣靜止不動。

子どもの頃、真夜中のベッドの中で、
そこにある自分の肉体と、
それをあらためて意識している
目に見えぬ別の自分との接点がさがせなくて
悲鳴をあげたことが有ります。
きっと前の日、
日焼けで剥がれた皮膚や
花びらなどを
顕微鏡で永いことのぞいていたせいかもしれません。

年幼時、對位在深夜的床鋪上,
那個自己的肉體有了新的意識
因找不著與"看不見的別的自我"的接觸點,而哭嚎過。
這定是前幾日,長時間用顯微鏡觀察
被烈日灼傷的皮膚跟花瓣的緣故也說不定。

もし精神というものをのぞける顕微鏡が有るとしたら、
やはり皮膚や花びらのそれと同じように
神に存在を約束されたものとして
映し出されるのでしょうか。
それが知りたくて、
それを確かめたくて私は私の精神に棲むものを
作らざるを得ないのです。
時々私の作った人形を見て、
なぜかなつかしいと言う人がいます。
きっとその人も私と同じように、
いつか遠い日に悲鳴をあげた記憶があるのでしょうか。

如果有能夠窺伺一種叫做"精神"的東西的顯微鏡的話
必定像是皮膚和花瓣一樣、
作為某種與神約定的存在物被映照出來吧。
我想知道、想確認那個…
我不得不去創造―――在我的精神上棲息的東西。
有時看著我做的人偶,不知為何總有說著"很懷念"的人
這個人一定是因為和我一樣,擁有不知何時、遙遠而哭喊過的記憶吧。

時おり私は無機質になりたくて
高速道路をバイクで走ります。
スピードメーターに反比例して
私は単純な記号で表されるかめの子になります。
そんな時は山あいに広がる夕焼の中に
神の存在を正直に認めることもできます。
そして願わくば一元素として
<彼>の胸にとけ込みたいとさえ感じます。

我偶而想成為無機物質―――在高速公路上乘著摩托車奔馳的時候。
但與計速器成反比 ,我只會變成單純以記號表示的苯環。
當時,亦可在夕照廣被的山隘中,

正直地體認到神的存在。
然後,甚至感到能化作願望的一個元素融入<祂>的胸膛。


しかしそれが果たせる訳でもなく、
しばしば白バイのおじさんに
自分が単なる猿であることを教えられます。
アーティストとは成長できなかった人、
と辞書を書きかえるべきかもしれません。
しかし成長できなかった人の特権として、
私は作品の中で自意識を分解し
新たな原子でそれを再構成することができます。

可是,並沒有那樣可行的道理,
我常從騎著警車的大叔那裡了解到,自己不過是隻猴子的事實。
說不定字典應該把"藝術家"一詞的解釋
改為"無法成長的人"才對
但是作為一個"無法成長的人"的特權
我將作品中的自我意識分解開來、
並用新的原子再次構成它

<彼>が一日目に光よ闇を作り、
二日目に天と地を作り、
最後に私たちを作ったように、
アーティストも自らの光と闇、
自らの天と地、
そして最後に自らの神経をときめかす者たちを
作ることができるのです。
私は願わずにいられません。
私の作り出す者たちが、
あのかつての闇を切り裂いた悲鳴を
なだめる者であることを。
目に見える神経と目に見えない神経の狭間を
うめる者であることを。
そして、あなたの神経から響く微分音を、
私が正確にとらえ受けとめることができることを、
再びサイレンのストップもかかることなく………

就像<祂>在第一天造了光明與黑闇,第二天做成天與地
最後創造了我們一樣、
藝術家也創造了屬於自己的光與闇、天和地
最後作出了能讓自己的神經雀躍不已的作品。
我不得不這樣祈求著、

祈求我做出來的物體們,能撫慰昔日撕裂黑闇的悲鳴、
能填補看得見和看不見的神經間的空隙、
並祈求我可以正確地捕捉到從你神經響起的微分音
且警笛的停止聲亦不會再一次地籠罩………




 人形はいいます。         人偶說:

 “ 私の瞳は銀色の湖         我的眼瞳是銀色的湖水
   しばし泳がせてみませんか      要不要常來游泳呢
   あなたの退屈な時間を        在你無聊的時候
   そして残るのは           然後留下的…
   悪魔の頃のあなたのぬけがら ”   將是你惡魔時刻的軀殼





本篇文章出自2007年9月30日再版的
『KATAN DOLL fantasm』

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